特集コラム

Column 12 高円寺のおみせ

高円寺のおみせ
2011/11/16

インスピレーションの磁場なのかもしれない - 七つ森

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高円寺駅南口のパル商店街を抜け、個性的なお店が立ち並ぶルック商店街に入る。しばらく行くと突然静かな住宅街に町並みが変わる。すると、その一画にレトロな佇まいながら、強烈な引力を感じさせる喫茶店が現れる。それが「七つ森」だ。

開け放しのエントランスから吸い込まれるように入っていくと、想像していたより店内は広く、開放感がある。奥の落ち着ける席に案内され、座る。椅子の上のクッションが実に柔らかくて座り心地がよい。なんだかほっとする。

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テーブルの上の、大きなマッチ箱に銀のフクロウが貼りついた手作り風の灰皿が可愛い。そういえば、看板もフクロウだった。フクロウがトレードマークなのか?

見上げると、いろいろな色や形のアンティークランプが飾られている。壁には古い柱時計。「七つ森に行ったらカレーを食すべし」との前情報を入手していたので、野菜カレーと、「本日のコーヒー」を注文する。見渡すと、若いカップルが多い。わざわざデートでここを訪れた風情だ。駅から結構離れているのに。

しばらくして、カレーが運ばれてくる。大ぶりの野菜がごろごろ入っている。

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まずは、大根にかぶりつく。か、固い…。生煮えか!?と思いつつ、他の野菜も食べてみる。かぼちゃ、れんこん、にんじん…すべて一度油で調理してからカレーに加えてあるようだ。もしかしたら、大根はあえて、生のままなのかもしれない。じっくり味わうと、野菜の栄養が体にしみてくる感じがする。

メニューを見ると、「七つ森では季節によって長野県朝日村の無農薬野菜をしようしております」とある。そして、その横に、「今の季節は大根の代わりにオーガニックのヤーコンを使用しております」と手書きで書かれている。

大根だと思ったらヤーコンだったのか!
よくよく味わうと、大根とはまた違った、果物のようなみずみずしい甘さがある。この味わいを活かすために火入れを軽くしたのだ。野菜のおいしさを大切にしていて、野菜好きにはとってもうれしい。ルーの辛さも程よく、また味わいも塩辛すぎず、素材の味をよく引き立てている。カレーには、水菜とレタスのサラダ、コンソメスープが付いてくる。

本日のコーヒー(485円)は「シグリ」という豆だった。

飲んだ瞬間「お」と思った。おいしい。濃厚なのに、すっきりとした後味。豆の甘味が感じられ、また、香りも華やか。いつもはインスタントコーヒーか、チェーン店のコーヒーしかいただいていないので、「わざわざ喫茶店に来てコーヒーを飲む意義」というものをひしひしと感じる。

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ゆっくりとコーヒーを飲みながら、文庫本を読みつつ、長居する。日曜日午後5時という微妙な時間なのに、満席だ。ここちよいざわめき。若いグループから、こんな会話が聞こえる。

「音楽って生き物だから。その時のその人じゃないと作れない曲がある。時間もお金もすべてつぎ込んでいて、苦しいけど、今という時を逃してはダメだ」

なんだか気分が高揚する。RCサクセション、大槻ケンヂなど、個性的なアーティストたちも七つ森の常連だったという。彼らも若い頃、ここで熱い気持ちを燃やしていたのだろうか。今、リアルタイムで文化が生まれている…そんな空気がここにはある。

■ 七つ森
住所:東京都杉並区高円寺南2-20-20
電話:03-3318-1393
営業時間:11:00―24:00(L.O.23:30)
ランチ[平日]11:00―14:30[土・日・祝]11:00―14:00
ディナー[平日]17:30?23:30[土・日・祝]17:00―23:30
夜10時以降入店可、日曜営業
定休日:無休

文・取材 / 海風美保子
理容マツバラ

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